奈良にお邪魔した最大の目的は全国でも屈指のホテルの宿泊。
そのホテルとは奈良公園内にある「奈良ホテル」、名門中の名門ホテルです🏨
一歩館内に足を踏み入れると重厚な雰囲気にの包み込まれたフロント、時空を超えた明治ロマンの空気が流れています。
上を見上げると約9メートルの各天井の吹き抜けが優雅に広がっています。
普段ならお部屋の紹介ですが奈良ホテルの館内は所々に美術品や調度品が配置され、どれもが歴史ある逸品ばかりなので館内散策へ。
まずはホテル屈指の撮影スポットで、赤い絨毯が映える大階段。
鳥居とマントルピース(暖炉)の組み合わせの調度品は、日本とドイツの和洋折衷様式で建てられたものです。
ちなみにマントルピースはほとんどの客室に備わり、大正初期までは実際に使用されていました。
大階段に横にある奈良の伝統工芸「赤膚焼」はもともと真鍮製でしたが、戦時中に供出したため代用品として制作されたものです。
ベロを出した写真しか思いつかないアインシュタイン博士が1922年(大正11年)、滞在された際に弾かれたピアノ。
脚部に鉄道省の動輪マーク、明治時代鉄道員が奈良ホテルの敷地を所有していた頃の名残です。
博士が弾いていたその写真がこちら。
ピアノを弾いてる博士の横にある暖炉。
目の前にあるのがまさにその暖炉、歴史の重さに圧倒されます。
1990年(平成2年)今上天皇の即位の折に、お祝いの意を込めて記念に設置された大時計。
15分ごとに奏でられる美しい音色があまりに素晴らしく、気に入られた皇后さまが出発前わざわざ聴きに来られた逸話があるそうです。
明治の趣漂う本館ロビー「桜の間」でコーヒーを頂きながら、ゆっくりと流れる「奈良ホテル時間」を感じるのも一興。
米軍接収開始直後奈良ホテル全体にペンキを塗れとの指示、当時の日本人支配人が奈良ホテルの由緒を説明し難を逃れました。
ただベランダの手すりだけは神社も赤く塗ってあるという事で、丹色(にいろ)にペンキの塗装を了承しました。
大階段の途中にあるお客様に食事の時間を伝える銅鑼、戦時中は空襲警報時にこれを鳴らしお客様を防空壕へ誘導していました。
本館2階吹き抜け天井にある釣燈籠を模した和風シャンデリア、天井から梁に直接固定されています。
マントルピースに代わり大正時代より活躍した「スチーム暖房」。
大正天皇即位記念で全館セントラルヒーティング化された際に備え付けられ、館内至る所に設置されましたが現在は使用していません。
100年以上も前の宿帳、こんな貴重な資料がさり気なく展示されてる所にホテルの格式の高さがうかがえます。
奈良ホテルが昭和初期に持った日本陶器合名会社、現在のノリタケ製の貴賓用食器。
御来訪された皇族の方々のお写真。
もはや美術館と勘違いする貴重な調度品や写真に芸術品の数々、クラシックホテルの神髄を目の当たりにしてすっかり重厚な雰囲気に飲み込まれました💦